SixTONES 8thシングル「ふたり」MV(YouTube Ver.)考察

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 SixTONESのMVで考察を初めて書きました。いやぁ、衝撃的すぎて。純愛ラブソングっていうからさ、言い方悪いけど、温かな美しいMVだね、そんな単純な感想で終わると思ってましたよ。それがまるっきり騙されました。一筋縄じゃいかなかった。

 

 歌詞に沿ったような朝を連想させる屋上のシーンから始まるMV。メンバーそれぞれがどこか寂しそうな表情で、目線で何かを追いかけている。切り替わるシーンそれぞれ光や風を感じさせるからか、現実を切り取ったようで。時折現れる女性の手やシルエット、花瓶越しに見える女性、2つあるコップや鍵、SixTONESのMVだからそりゃ女性がガッツリ映ってくることは無いだろうけど、意図的に見せられる女性の影はあまり現実的ではないようにも見えていた。だからこそ、独り孤独に言葉を紡ぐSixTONESメンバーは、パートナーを失って孤独に現実を生きる側だと思っていた。想い出(対象の存在、強い思いを指したいのであえてこちらをチョイス)に浸ってあの幸せだった時間を思い出している、そんな現実世界を描いているのだと。でも、その考えは裏切られる。実はこの現実世界で生きているのはパートナーだけ。ふたりの想い出の物に惹きつけられるようにして6人が帰ってきたのか、いなくなった彼らと共に過ごす白昼夢か。いずれにしても、沢山の洗濯物を干した屋上・陽が差し込むバスタブ・海辺まで走ったバイク・あおいちゃん・プロジェクターで観た映画といったありふれた、でも2人にとっては幸せを感じていた場所や物と共にいなくなったはずの人が現れる。

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 2:10「ほら迷わず進もう いつも貴方のそばにいるから ずっとずっとふたりで どんな明日を」という歌詞と共に窓が映し出される。夕方の空に雨雲のような雲が流れていく。ここまで、どのメンバーの風景にも夕方の描写はない。時間経過を表しているのかと思ったが、これ以降も夕方と示される場面は出てこない。束の間の逢瀬も終わりを迎えようとしている、ということを示しているのかも。そして樹と女性が手を引っ込める、きょもの前にいる女性が消えるといったわかりやすく印象的な離別が描かれている。

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 ここから、順番に個々のシーンへと移る。まず北斗。少し笑った後に泣くのをグッと堪えたように部屋を出て行き、大空に向かって伸びる大きな橋をひとりで歩いて行く。部屋を優しく見つめる慎太郎も、後ろを全く振り返らずに風呂場を出ていく樹も橋を歩いていく。慎太郎ー!そんな優しい表情しないで、愛おしさしか無いのよ。(歌っていることもあるけど)何かを叫んだようなジェシーも、哀愁がありつつも少し口角を上げた髙地も足早に橋を歩いていく。5人はそれぞれ、自分で決心したように想い出の場所を離れていく。そして集まってくる橋はあまりに現実離れしている。全く動かない雲、服が濡れていない樹。ここまで丁寧に作り込んだMVで意図的に作られた、時が止まっている場所。そしてついにやって来てしまうきょもの別れ。個人的にはきょもの表情だけずっと悲しみが見え隠れしているように思う。「ずっと ふたりのまま」という歌詞に反するように、桜の花びらに導かれるように身体が消えていく。終わりや死の象徴である桜の花びらが、きょもが消えた後に1枚だけ舞い込んでくる。本当の終わりを示しているような印象的なシーン。また場所は変わり、先の5人と同じように橋を歩いていく。気持ちゆっくりな気がするのは私だけ?5人はきょもが来るのを待ってから、6人で歩き出す。後ろを振り返らず、しっかりとした足取りで。ふたりというタイトルの下を。

 もしかしたら、きょも以外の5人は想い出の場所に帰ってくるのは初めてのことじゃないのかもしれない。自分が亡くなった後も思い出と共に前へ向かって人生を歩んでいるパートナーを、何度も何度も見届けに来ている。あなたの名を・私の名を呼ぶことしかできなくても。でも、北斗の手元にあるグラスが片方空っぽだったり、樹の歩いた後に水溜りができていることを考えると自分が来た痕跡をパートナーに残すことはできるのかもしれない。まだふたりの歩みは続いているとパートナーが気づけるように。

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 そしてきょも。他5人が昼間の描写なのに1人だけ夜、身体が消えてしまう描写。「歩いて行こう ずっとふたりのまま」この意味をきょもはまだ悟っていないのかもしれない。パートナーは自分の想い出と共に、明日という人生を歩いていくことができることを。きっとそれを理解して飲み込むには時間が必要でしょう。花瓶に生けられた一輪の花に向かって降り注ぐ桜の花びらが、消えてしまう自分の存在を残すためのようで。ふたりの新たな想い出を残して橋へと導かれていく。

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 6人は現実世界でも仲良しだったのか、同じ境遇なだけかはわからない。きょもの顔を見て笑顔の5人。「あの子、(明日に向かって)歩いてただろ?」「俺らの言った通りだべ(あえて樹をチョイス笑)」そんな短い会話をしていそうな穏やかな雰囲気。そして橋の向こう側へと、今彼らがいるべき現実ではない場所へと(きょもは初めて行くのかも)歩いていく。人生は束の間かもしれない。でも互いの人生が交わった時間は幸せや色々な感情で色づき、そこからの人生は自分ひとりの時にはなかった方向へと進んでいく。それは例え今、パートナーがいなくても。ふたりの人生であることに変わりはない。

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「マスカラ」「わたし」のMVもストーリー仕立てだったけど、今回はまたひとつ違うと思った。全員が芝居経験者ということも少しはあるかもしれないけど、表情や動作ひとつひとつに意味が込められている気がした。また、歌声がズルい。声だけで切なさや儚さや温かさ、色々な感情を届けてくれる。ショートバージョンのMVでここまで文章かけるとは。これはフルMVが楽しみでなりません!(盛大な前振り)

  私的考察ぶちまけ長文乱文失礼致しました。とにかく一緒に何度もMVを見て、秋の夜長に哀愁に浸りませんか。一緒にふたりの沼にどっぷり浸かりませんか…。お待ちしております。

髑髏城の七人 season極〜修羅天魔〜 3/29 感想

どうでもいい事なんですが、最近になって花粉症を発症しまして…。関東荒野に吹きすさぶ黄砂と花粉はかなりキツかったです。それでも浮き立つ心とコンタクトでハチャメチャになりながらも必死で行った髑髏城は最高でした…!

 

まずざっくりと

観終わった後の爽快感が凄くないですか!?色々なものを選んで捨てて生きていく大人の巧みさがスーパードライ。外道は最初から外道だし、悪はきっちり葬り去られるし、壊れたものはまた作る。頭の片隅に余韻として残ってる(ロスとも言う)月髑髏を甘ちゃんなんだよ!って思い切りぶん殴ってくるスタイルでしたね。これだから中島大先生といのうえ大明神はやめられない…!!ワカ髑髏観た後、カッとなって五右衛門ロックだの蛮幽鬼だの阿修羅城だのメタマクだの色々探して観たのを思い出しました。

…話が少し逸れました。「修羅天魔」は新作ですがやはり「髑髏城の七人」なんですよね。花鳥風月で色々崩しても、さらに極でこれだけ崩しても全く物語の軸がブレないところが本当に面白いし、素敵だし、驚きです。これだから中島大先生といのうえ大明神は…以下略!二幕の最後、並ぶ七人の頭上に「髑髏城の七人」のタイトルが浮かんだ時の鳥肌はちょっと言葉にできません。…最後にそれを持ってくるのはずるくないですか?全てを回収してきてまた「髑髏城の七人」になっていく訳ですよね。誰ですか、そんなずるいことを考えついたのは。ちょっと出てきてください、伝えたいことがあります。…ありがとう!

 

ここからは気になった事・人をざくざくと

 

天海姐さん

・大好きな女優さん。ドラマBOSSで惚れ込みました。出てきた時はどなたかと同じように鼻血が出るかと思った…。

・あの、上手い言葉が見つからないです。でも言いますね。            貴方、ステアラ丸ごとどころか、歴代の捨之介まで抱いていませんか?太夫だけど捨之介なんですね!最後にそこに落とし込んでくるとは思わず。season極が最後に来るのは当たり前ですが、それでもseason極が最後で良かった。天海さんが極楽太夫で捨之介で良かった…。最後の「捨之介」の口上は今までと比べると静かに聞こえますが、天海さんの目や気に本当に圧倒されて。全てがピタリとはまった、本当のエンディング。もう涙ボロボロでした。

・台詞が一々男前。「天魔王と一緒にあんたの恨みも撃ち抜く」「それでも送ってやるよ」の台詞で個人的には好きが爆発。「ありがとう、みんな」の優しい声でさえ、大声で好きだー!と叫びたい。

・ステアラのスクリーンの使いこなし度は群を抜いているのでは…!

 

天魔王

・古田さん…。確かにそこには王がおじゃりました…。この日は小さい子が多かったですが大丈夫だったでしょうか。

・大事なところで人の名前間違えました…よね?隣にいたB子は気づいていませんでしたが。

・洞察力がある、計算高い、冷静。己の実力を武器に部下を従えている最強系党首。幹部もデキる男幹部衆という感じがしますけど、天魔王を見ると歌って戦えるちょっと腕っぷし強めのおバカさんにしか見えなくなるという弊害が…。

・欲しいものが目の前にあると冷静になれないですよ、普通。でも天魔王はそこまで着実に物事を誘導してた訳ですよね。強いぞ、髑髏党。というより天魔王。

 

夢さま

・お、お顔小さいですね!意外と声低いですね!!ペガサス先生と木林さんから来ましたけどまぁよく分からない方ですね(褒めてます)!!!

・まだ地に足が着いてないフワッとした印象を受けましたが、段々と化けそうですね。楽しみです。しかし歌うんですね…。びっくりした…。

・蘭兵衛から色々なものを取り払って黒いものを足したキャラ…という訳でもないと感じました。父上との関係を考えるとまだまだ複雑な心境にはなりますが「最初から外道だ、コイツ!!」というお守りワードを持っていれば蘭兵衛ほど辛くならない気がします。しかし兵庫は別。

・「父上―!!」の場面、急に「てんまおー!!」の彼を思い出しました。

・腹をかっさばく場面、汗と血糊で結構お顔がぐちゃぐちゃなんですね。父上に裏切られ、成すべきことを成せなかった夢虎がそこまでした理由はまだ掴み切れませんが、ライビュあたりにもう一回観てから考えたいところです。

 

レインボー三五

・熊猫!あのカパカパしてる口に最初は気味悪さを感じていたのに、あら不思議。段々可愛くなってくるんですよね。

・緩急の付け方はさすが河野まさとさん。一瞬たりとも目が離せない。動きも音楽も本当に絶妙。好き。

 

髑髏党幹部と鉄騎兵のわちゃわちゃ

・今seasonの髑髏党員はパーリーピーポー!髑髏党採用試験に歌唱とダンスありましたね!?面接官はもちろん妙声を筆頭とした幹部様達でしょう。

・幹部に合わせて鉄騎兵がちょこちょこウェーブしてたりリズム取ってるの可愛い。妙声は昼休みとか仕事終わりに部下と特訓してそうだし、猛突の部下は上司を盛り立てようと仕事終わりとか家で自主練してそう。水神坊はそれを横目に筋トレ中。たまにノってくる。

・幹部みんな好き。新感線色強めのクセ強め、髑髏味のブルーチーズ…。倒され方まで個性強くて生駒ちゃんの時のような気持ちには一切なりません。中島大先生のこの必殺☆手のひら返し感がとてもクセになります。

・しかし、あの戻り鎌は想像をはるかに超えてきました。水神坊の頑張りが見える場面。あらゆるものが飛ぶ。あにさも兵庫も飛ぶ。帰宅後に戯曲本開いて「あれ、戯曲?戯曲??スクリーン??」と一人でなってました…。あの戦闘シーン、人件費かかってそうです。あと小道具もたくさんあって大変そう…。

 

天才沙霧

・「うっせえな!」「また説教かよ!」なんて言いません。聡い子です。

・無界の里への思いが強くて、無界の雰囲気が懐かしいって言っただけで涙腺崩壊しかけました。無界の里を作り直す、と力強く言い切れるのはあなただけだよ、沙霧。

・ちゃんとボケに突っ込めるし、爆薬は扱えるし、ほんと頭の冴える良い子なんです。…好き。

 

不憫兵庫

・時間経過と共に兵庫の服は血濡れの赤だったかな…!?と思い始めてました。無界のことも夢様のことも色々回収してます。もはや極での拾之介

・彼、最後の清十郎さんといい、美味しいところを持っていかれてますね!?子分も惚れた奴もみんないなくなって一人になってしまった兵庫。それでも何度も立ち上がる兵庫のメンタルって一体何なの…。おすそ分けしてほしい。

・まだ公演も序盤で拾之介には遊ぶ余裕がなさそうでしたが、少しずつブラッシュアップしていく中で福士兵庫の兄貴っぷりがもっと出てくるんだろうな、とワクワクしています。

 

清十郎さん

・美味しい、本当に美味しいです。清十郎さんは飲み物だ。出てきて欲しいところでちゃんと出てくるし、約束は違わない。お家に一人、清十郎さんセコム付けましょう?

・一々発言が物騒で可愛いし、御主人Loveなところはもっと可愛い。

・折り紙があると戦闘能力が上昇。

 

 

最後に

 新社会人になり、時間が無いので簡単な感想になってしまいました。

 極髑髏、ライビュは観に行けなさそうなので、あとは5月の戻りを狙っていくしかなさそうです。日々成長している修羅天魔を観たい…。まだ夢様がかなりふわふわしているし、一幕のテンポが説明形式もあってかガバガバだけど、本当にクセになるんですよね。髑髏城の七人ですが、修羅天魔なんです…という意味の分からない発言を周囲にまき散らしながら、今日も明日も頑張っていきたいです。

 このままいくと清十郎どころか髑髏城が飲み物になりそうで怖いです。ガバガバ飲める。でもアルコール度数は実は結構高めという曲者。

 演出がかなり変わってきている、という噂を聞くことが増えてきたのでこれからが本当に楽しみです!

 

 乱文失礼しました。ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

 ではまたの機会に。

「髑髏城の七人season月 下弦」感想

下弦の月を観るまでの経緯

 人生の大きな山場になるであろう国家資格取得のための試験を終えたら、そのご褒美に劇団☆新感線の舞台を初めて生で観よう!と思ったのはいつだったか。知人イチオシのワカをDVDで観て(このあとしばらくタイチサオトメ氏が良い意味で怖かった)、今豊洲で髑髏がグルグルしていることも一応は知っていました。行ってみたいけど国家試験の年なのでスケジュール的に無理だろうとあきらめていたある日。「宮野真守 髑髏城の七人出演決定」という情報が私の元に舞い込んできました。宮野さんが何で時代劇に…?と思って髑髏城の公式サイトやらtwitterにお邪魔してから数分後、やっぱり観たいと衝動に駆られるままスケジュールを確認したところ、私が行ける日は月髑髏下弦千穐楽たった一回のみだということが判明。千穐楽だけ観るなんて長年のファンに申し訳ないと思いつつ、この一回のチャンスを掴むためにチケットサイトを走り回りました。

 そして冬も本格的になってきた中、チケット当選のメールが。国家試験が千穐楽近くなので十分な予習はできないけど、役者さんについては今まで演じてこられた演目を観たり、ブログを読んだり。舞台については、数多といる髑髏党員のみなさんのレポを読んで、必死に脳内シミュレーションしたり。国家試験と千穐楽を目指し、勉強と髑髏のバランスをとる毎日でした。

 千穐楽は本当に最高でした。捨天蘭の立ち位置や、七人の力強さ、大人の駆け引き、未来ある者へのメッセージ…こんなに引き込まれるなんて思ってなかった。以下のまとめは、月髑髏をたった一回しか観ていない者が髑髏ロスするほどの衝撃を受けて書いたものです。乱文やら偏差値低い文章やら口調の乱れをお許しくださいませ…。

 

まずは印象的だった場面を。

~天魔王爆誕
 「六欲天をご存じか」の最初の一言。えっと、このねっとりボイスはどなたのお声でしょうか…。ハッ、これはまさかあの鈴木天では!?と思いお顔を見るとそこには人の男。凄い。初っ端の雰囲気も凄いけど表情筋も凄い。天の男に一歩近づいた人の男が纏う幸福感と高揚感を全身で表現するような六欲天ダンス、そしてまだ存在していない城に名前を付け、言い放つ。「髑髏城で待っている」。クレバーな男は残す言葉もカッコいいなんて。ずるい。…戦国鍋と最遊記歌劇が脳内ぐるぐるしたので書きますけど、六欲天ダンス、鈴木さんかなり特訓したんじゃないかな、と。正直ダンスとなるとぎこちないイメージしかなかったので。そこが可愛いところでもあるけど、今回天魔王としてマントを捌きながら踊る姿は狂気に満ちていて圧巻だった。しかし、全然瞬きしない。

 

~捨之介登場~
 小気味良い拍子木の音!キレーな脚を惜しげなく見せながらやって来るやって来る。 これまた宮野捨は大柄なので似合う。腹チラはマモライ等でも見かけますけど、脚の主張も激しいんですね…。そして「いけねえなぁ」ですよ。あれはやばいやつだ。宮野ボイス破壊力は重々承知しているつもりでしたが心臓ワシっと掴まれてしまいました。あんちゃん捨最高…。
 「今のところは(略)」傘をスッと開いて脚を前に大きく一歩。傘を持つ手を高々と掲げて「…捨之介だ」。下げるタイプの口上にしたことで苦楽を経験してきた、また色気と儚さを含んだ大人の捨之介を感じられて。これは30代宮野捨の特権ですね…。口上の場面でふと思ったこと。宮野捨は、捨之介という名前を改めて自分に言い聞かせているようだった。彼はこの名前を(この時点では)それほど愛していないのかもしれない。過去から解放されたい男が全てを三途の川に捨て、得た名前。脆く、儚い己の心に突き立てた一振りの刀のようなものなのかな、と。

 

~捨天蘭再会 同窓会篇~
 広い関東荒野の風に消されないよう、捨は蘭に声を必死にぶつける。「無界屋蘭兵衛だろうが!!」ここの場面、仲間(と思ってるのは本人だけかもしれないけど)を失いたくない、人の男も戻ってくれるかもしれないと信じてる捨がしんどい。だからこそ捨てきれてないのに。でも下弦天は捨のこと絶対嫌いだろうなとは感じました。天魔王からは真面目さが見える見える。彼の仕切る髑髏党、労働時間についてはホワイト企業ですよ、多分。

 

~無界の里での蘭兵衛、あと兵庫~
 無界屋での蘭の様子を見ていると、太夫やガールズの事を心から信頼して大切にしていたんじゃないかな、と。ここまでどんな経緯で無界屋を盛り立てていったのかは大まかな事しか分からないし、想像の内でしか考えることができない。けれど無界屋で暮らす無界屋蘭兵衛という男を、蘭兵衛自身は愛していたと思いたい。時折見せる蘭丸としての本質は変わることは無いけれど、生きるための変革を遂げてきて今の蘭兵衛があるような気がします。当時は生き延びるために信頼し、裏切り、主君を変え、その中で自分の持てる物を武器にしながら己や一族を守るために奔走していたと思うので

 そして兵庫!千穐楽では最初から最後までありとあらゆるものを攫って行ったこの漢。素敵すぎるしズルすぎる。生で観て木村兵庫と伊達渡京好きになりすぎました。捨とはまた少し違うあんちゃん。何だろう、もっと真っ直ぐっていうか。何だかんだ言って無界の里とその主人を尊敬しているのでしょうね。

 

~黄泉の笛~
 「どけ、死にたくなければな」。笛からスラリと長刀を抜き、鞘投げ選手権。高く跳躍しながら、流れるように鉄騎兵を斬っていく。「君死に給うことなかれ」の歌詞が流れる中、太夫の思いと反対に蘭兵衛は自ら死へと向かっていくように見えて。この場面、彼は森蘭丸としての自分を意識的に呼び戻していたかも、と若干思いました。蘭兵衛では天魔王と渡り合えないと考えていたからこその派手な討ち入りのような気がします。羽野太夫は何度も「君死に給うことなかれ」って繰り返しますが、これは究極の言葉ですよね…。蘭兵衛が戻ってこないことに薄々気付いていたとしても心から願って出た言葉。オブラートに包まない嘘偽りのない思いと言葉だからこそ切ない。太夫の覚悟と蘭兵衛の覚悟が交錯し、また離れていく…。二人は心から信頼し合える間柄だったんだと、こんなにも感じられるのが別れの場面だなんて…と感じました。

 

~天魔王の口説き
至ってクレバーな天。冷静に蘭を追い詰めていく。「この私を殺せるか!」目を見開き、蘭を挑発する。蘭兵衛として最後の大商いに来たはずの彼を、ニヤッと笑いながらどんどん蘭丸へと引きずり堕とす。ホント計略上手な鈴木天。
 仮面を見せられた後の天は冷静に見えるけど物凄く蘭を揺さぶってる。言葉の強弱、抑揚を殿に似せているのかは分からないけど、蘭の息が段々と乱れ、抱えた頭を床に擦りつけながら「やめろ…、やめろ…!」と声高に呟く姿からは殿の存在の大きさを感じました。仮面を見せられて堕ちていく蘭を見る天は本当に悪いお顔なんだけど、蘭はそれを見て無いんですよね、仮面越しに殿を見てる。そうか、殿の前にいたのは森蘭丸であって蘭兵衛じゃないの、か…。
 

~霧丸と捨之介の再会in髑髏城~
 霧ちゃんの信用を失ってしまった捨の悲しそうな顔。過去はどうにもできないことをよく知っているからこそ苦しい今の状況。昔も今も地の男ではあるけれど、そのお役目はかなり変わったと思います。霧ちゃんは捨に自分と同じものを見出して相手を理解しようとしていて。こういうところにも霧ちゃんの成長感じました。どうしても霧ちゃんに対してはお姉さんどころかお母さん目線になってしまう。なんなら近所のおばさんでもいい!

 

~霧丸と渡京~
可愛いいが爆発しまくってるお二人のコント最高!としか言えない。「あ、てめー、渡京、うらぎるつもりだなー。」なんて素敵な棒読み!コナン君でももうちょっと上手じゃないですかね!霧ちゃん、可愛いよ!!霧ちゃんおばさんになりかけてるところにトドメを刺さないで欲しかったですけどね…。
 一輪車とスケボーも可愛い。というか二人で何かこちょこちょやってるところ全部可愛い。円形の劇場を自由自在に走り回る。スケボーに負けず劣らずのスピードで爆走してる伊達渡京の一輪車も、現代っ子らしくスマートにスケボー操る松岡霧ちゃんもとっても生き生きしてる。好きです…。

 

~天魔王の裏切り~
 天に斬りかかられた蘭は明らかに動揺してるけど、それは天を信頼していたからではないなと。天に殿の面影を見てる。だから殿の意志を継ぐという点において一致していたはずが裏切られた、ということへの動揺な気がします。
天は何度も蘭の身体を刀で貫く。そして真一文字に蘭の目を切り裂く。蘭丸に戻ってからは事ある毎に天を仰ぐことが多かった蘭の目。それををあえて斬ることは小姓時代から募らせてきた蘭への憎しみや嫉妬を表していた感じがして。二度とその天を、殿を見えないようにしてやろうという人の男の器の小ささが出てると思います。殿だったら駒を無様に生かす前に確実に斬り殺してるでしょうし。

 

~蘭兵衛の死~
 「しょせん、外道だ…!」と蘭は苦しそうに言葉を吐き、銃撃に倒れる。兵庫に止められるまで撃っていた太夫も我に返ると必死に蘭の手をさする。蘭の手に付いた三途の川の血を必死に取ろうと、また太夫に優しく伸ばされていた蘭兵衛の手を取り戻そうとするかのように。そこにゆっくりと近づく捨は蘭の死を受け入れている気がしました。というか無理矢理自分を納得させていたようにも見えました。捨はきっと無界の里で蘭兵衛として生きていくことに最後まで望みを掛けていたんだろうと思います。でもこうして太夫に看取ってもらえたことで(この場面では)蘭の死を受け入れないといけない状況に置かれてしまったような感じを受けました。

 しかし、その後の「天魔王―!どこだぁ!!けりぃ、つけようじゃねぇかぁー!!」と叫ぶ台詞には蘭兵衛を救えなかった己への怒りが籠っている気がします。納得しようと蘭の死を反芻している内に感情が高ぶっていったような叫び。やっぱりお兄ちゃんなんですよね、捨は。待ってろって言ったのに勝手に行ってしまった蘭を見捨てることが出来ずに最後まで必死に語り掛けている。それが自分のエゴだとしても。それと、この台詞にもう一つ思うところがあって。ここで捨が人の男の本当の名前ではなく、天魔王と呼んでいるところです。捨はあくまで天魔王を止める、という意志を貫いているんでしょう。彼が斬りたいのは天魔王で、それを止めさえすれば人の男は帰って来ると信じている。だからこそここで「天魔王!!」と叫んだのでしょうね…。

 

~捨天対決~
 暗い天魔の間に等間隔で光るライト。暗闇を切り裂くようなあの眩いライトはそれだけで今の捨天のようでした。それまでのがちゃがちゃした雰囲気(百人斬りとか渡霧の場面とか)とは打って変わって、二人だけの世界。誰にも邪魔されないけど、決断の時は確かに迫ってる、そんな緊迫した雰囲気でした。捨は天を止めることにちょっと期待を含んでいるようだったけど、天は完全に覚悟を決めた顔に見えました。
 仮面が外れた瞬間の「なに!?」という驚きの表情。一瞬何が起きたのか分からずに固まっているところから、天を目指した男の崩壊は始まっていた。というか、あの場面本当に大変ですよね、鈴木天。台詞もあって殺陣もあって、その合間に鎧の継ぎ目(仕掛け)を外していくんですから…。さらにそこに崩れ始めた天魔王としての顔と現れた人の男の感情まで載せなきゃいけない。 
 六天斬り、私のイチオシは「ぃやまてェん!!」です!あの、ちょっと六天斬りの音源BGMと一緒にくれませんか新感線さん。ドスも効いてるし超活舌良いし、捨に思いを寄せてる時は超気持ちが良かった六天斬り。天の鎧を外していく捨は段々口角が上がり、六天斬りの口上も高らかになっていくのに対して天はどんどん小さくなっていく。姿勢も声も殺陣も。なので天に思いを寄せるとこの場面はちょっとツラいんですよね。
 そして天の最期ですね。全てを諦めたように笑って捨の刀を自らの腹に突き刺す。メリメリと音をさせながら、ゆっくりと捨に自分を刺している感覚を味合わせているんじゃないかと…。ここで捨と天の感情が逆転する気がしました。最期の悪あがきのようにニタリと笑う天と驚きで顔を強張らせる捨。天を止められると確信していた捨が自分の考えの過ちに気付いた瞬間。気付いた時にはもう遅い、ってこういう事です。天が最後に「捨之介」とはっきり呼びかける場面。あれ絶対わざとその名前で呼んでると思います。それまで捨のことは「あの男」「貴様」が多いですし。捨之介、お前が私を殺したんだというような天の言葉と眼。捨の刀をわざわざ自分の身体から抜いて捨に持たせたままにしたのも、よりそのことを実感させるためだと思います。「天魔王として死ぬがいい」は蘭の目を斬った時同様、天が精一杯の嫉妬と憎しみを小さい身体で精一杯張った虚勢にしか見えませんでした。スモークが後ろから噴き出す中、闇を前にスッと立つ天は美しい。鎧が無くなった細身の一人の男があの不敵な笑みで天魔王として虚勢を張って死んでいく。天は捨のまばゆい陽の光を浴び続けて苦しんではいたけれど、自らその伸ばされた手を振り切って死んでしまった。誰にも信念を曲げられず、最期まで貫き通して。本当の意味での勝ち逃げ。本当に自分勝手。でもそれは捨も蘭も同じなんだろうとも思います。やっぱりこの三人、本当のところは仲良くなかったですよね?
 あと、六天斬りの場面で捨が天のマントを剥ぐところ、二人の身長と体格差の効果でしょうけど捨が天をいじめてるようにも見えて、ちょっと天が可哀そうだなぁと思ったのはここだけの話です。

 

~髑髏城からの脱出~
 天魔王の(殿の、という表現は違うような気がする)鎧に縋りついて慟哭している捨。彼は蘭に続いて天も救うことが出来なかったんですね…。捨はいつも大事なことに間に合わない人なのかもしれない。と大きな身体を震わせている捨には生きようという意志は感じられませんでした。そんな捨に真っ先に駆け寄って歯を食いしばりながら鎧を奪って投げ捨てた霧ちゃん。捨から鎧を奪って捨てて、肩貸して逃げて、「あんた、地の男なんだろッ!!」って、前に捨に生きろって言われていたとしてもちょっと自分勝手な気がして。でも捨は道理が通ってる男だから霧ちゃんを死なせるようなことは自分が許さないでしょうね。自己犠牲の男は髑髏城を抜け出すことについて、自分が生きることよりかは霧ちゃんを生かすことにウェイトを置いていたと思います。

 必死で戦う人々の背後から光差し、七人のシルエットが浮かび上がる。バラバラのはずの七人は、一つになっていた。この時だけだとしても。捨の袖が力強く光を含み、風に揺れる姿があまりに眩しかったのをはっきりと覚えています。

 

~捨之介と家康、霧丸の説得~
 やっと抜け出したボロボロの捨を囲む徳川兵。天魔王の意図を知った捨の荒い呼吸とに混じる笑いはこっちも苦しい。そして「浮世の義理も…」と震える声で言葉を紡ぎだし、感情のボルテージが最大になった時「三途の川にィ!捨之介ェェェェエ!!!」と必死に叫ぶ捨。俺は俺だ、と必死に主張しているようでした。覚悟の口上は、タイトルコールの時の口上よりも口上らしいと私は感じました。捨はこの名前の裏に、こうやってたくさんのものを捨てて隠してきてるんだなって思ったら涙腺崩壊しかけてました。
 「家康さんよォ」と語り掛ける捨は汗と涙と水でもう色々とぐっちゃぐちゃなんですけど、でもそれが余計に捨をリアルに見せていました。ビリビリと震える空気の中で捨てられた刀は捨の覚悟の象徴でした。「約束しよう」と言われた捨は立てずに家康の胸にそのまま崩れ落ちてしまう。とうとう天魔王の手に自ら堕ちることを決める。捨も天も自ら死に向かっていったけど、捨はみんなを生かすために自分は死のうとする。千穐楽終わって1週間くらいは、ここに捨天の明確な違いがあるよな、うんうんって思ってました。でも本当にそうなのか?という思いが少しずつ出てきて。過程と目的がどうであれ、やはり死を選ぶって最悪の選択だと思うんです。現代でもそうだと思うんですけど、自分の弱さに耐えられないから、周りからのひどい扱いがあったから、自分の所為で苦しむ人がいるなら…、と様々な理由で自死を選んでしまう人たちがいる。でも、誰が弱いだとか悪いだとか関係なく、結果としての死は本人も周りの人も救われないと思うんです。だからこそ、捨が死を選ぶことこそが最大の罠であり喰われることだったのではないかと感じました。
 霧ちゃんが家康に兜突き出してる間、捨はずっと「霧丸ッ、霧丸ッ…」ってか細く、上ずった声で呼んでいて。霧ちゃんの命を救ったのは捨で、霧ちゃんはそれに恩返ししたい(我儘も入ってると思うけど)と思ってるけど捨はそれを望んではいない。でも霧ちゃんは悲しませたくない。彼の将来を邪魔したくないとう思いも強い。捨自身は拾ってもらった命は大切にすると思うんですけどね。
 

~それぞれの行く先と別れ~
 渡京!!お前って奴は!なんて素敵な奴なんだ!!伊達渡京はコミカルさに隠した計算高さがとても気持ち良かったです。「双子の…」「嘘つけ!!!」パシャパシャと音をたてて川を渡り一言。「嘘つき渡京と人は呼ぶ。」あー!カッコいい!!
 兵庫ぉ!「おっとうのズラファ二ー(めっちゃ発音良い)!」瞬間的に捨霧から肩パンのツッコミ入る。感動の波が押し寄せる中突然入ったネタ。そういえば新感線の舞台でしたっけね!と思い出させられました。対照的に「りん、ど、う…」の声が小さいの可愛い。この二人は良いコンビでこれからやっていくんだろうなぁと思いました。
 太夫は良い女。羽野太夫の呼ぶ「蘭兵衛さん」「兵庫さん」「捨之介さん」「霧丸」そしてガールズ。みんなそれぞれへの愛情が込められた呼び方でした。でもやっぱり蘭兵衛は特別だったんだな、と何となく思いました。生き地獄を見てきて、ようやく手に入れたはずの平和も手を離れ、またもや地獄を見た太夫。今度こそ幸せになってほしい…。
 霧ちゃんがみんなを見送って感慨にふける中、捨はとっととその場を去ろうとする。散々付き纏ってたくせに置いてくなよ!みたいな感じでキャンキャン吠えてる。最後まで可愛いのなんの。「城を造ってやるよ!」と言う霧ちゃんは本当に捨のことが大好きだし、これからも自分の成長を見て欲しいんでしょう。霧ちゃんにとってはやっぱり捨は陽の男。それを上半身だけ振り返って温かな目で見つめる捨。「よせよせ、」着物の裾をめくって左脚を前に大きく一歩。「柄じゃあ、ねぇよ!!!」柔らかな光が差し込む中、高らかに笑いながら去っていく。捨之介は捨之介としての人生にまた戻っていった、捨という名前を捨てずに。最後まで粋なあんちゃんだった捨。追いかけていく霧ちゃんはこれから明るい人生に向かっていくんだろうなぁとは思うんだけど、捨がこれからどうするのかは他の六人と比べるとほとんど示唆されてない。ここまでが髑髏城の七人という物語だと改めて思い起こさせる。ケレン味溢れるこの物語は、偶然にも集まった人達の人生の内、ほんの一部を切り取ったもの。捨天蘭、三人の終わらない青春時代に終止符が打たれた物語。濃い内容ではあるけれどさっぱりと終われるところで物語が終わってる感じがどうもしてしまうんですけどね。


私の思う宮野捨の陽と陰。
 捨は天も蘭も仲間だと思ってる。またあの同じ釜の飯を食っていた頃の三人に戻れると信じてる。だからこそ二人を死なせたくなかった。でもそれって結局のところ捨の我儘でもある気がしてならないです。これからも蘭を守れなかった自分への怒り、天を殺してしまった(死んでしまった)絶望が捨をずっと支配することになるんだろうな、と思います。それでも、宮野捨が大切にしていた人との繋がりが、愛が、一秒でも長く彼をこの世に引き留めていますように、と願わずにはいられない。
 宮野さんがパンフの最後でも言ってるけど、捨はこの後どこかでふらっと死んでいてもおかしくないと思いました。陽の背後に隠した闇は深いし、後々捨を蝕みそうな危うさがずっと付き纏ってる。新しい名前を探す旅に出ていかず、捨てきれないものを抱えたまま、彼は捨之介と己を偽って生きていく気がします。

 ひとまず、宮野さんが持つ「陽」を前面に打ち出すことで、奥底に隠されていた「陰」を引きずり出してきたいのうえ大明神に感謝するしかありません…!

 あと宮野捨の綺麗な脚も忘れちゃいけませんよね。ありがとう。

 

廣瀬蘭はとても人間らしいと私は思う

 分からないと評されることの多かった廣瀬蘭だけど、彼の考える蘭ってとても人間らしいと思うんです。ずっと愛されているけれど、周囲の環境によって形作られていく自分、時の流れが変えていく自分、やっぱり根底にいる過去の自分。何故あれほど変わってしまうのか、私もよく分かりませんでした。確かに殿に仕えていたころの蘭丸は頭脳明晰・器量良しでとても美しく、その思い出は未だ色褪せることなく蘭兵衛の片隅に住み着いている。でも無界の里にいた蘭兵衛はそこでしか得られない幸せを得ていたと思うんですが…。結局、廣瀬蘭を理解するには空白の8年間を紐解かなければ答えは出ないんでしょう。でもそれがとても深い。廣瀬さんがブログの中で人の本質は難しい、と言うようなことを書いていたけれど、本当にそう思います。正直廣瀬さんについても(天然故か)理解できないことはいっぱいありますけどね…!蘭の本質は蘭兵衛にも蘭丸にもある。人は完璧じゃない。全てを理解しようとしてた私は無粋だったのかもしれません。ありがとう廣瀬智紀さん。ありがとう愛髑髏。

 

私が語るにはイケメン社長すぎた鈴木天。

 ワカからどくろじょデビューしてしまった私はですね、天魔王のイメージが何故かワカ蘭よりも捻じれまくったクセしかないヤバい人物、という認識が強かったんです。でもみなさんのレポを見ていて、下弦天はクレバーだの気持ち良いヴィランだの書かれていたので混乱を極めてました。実際に観ての感想は…「本当に気持ちよかったです」

 自分の意志に誰よりも忠実で悪の道(当時としてはやっぱり普通な気もするんですが)をひたすら突き進んでいく天はあまりにもカッコよくて。生駒であっても駒は駒。なのに殿や憧れの天への愛を拗らせて、年単位で準備してきた第六天魔王の夢がこんなにも儚く終わってしまうことを考えると少し切なくなります。ある意味でこの戦いに勝ったのは天魔王でしょう。勝ち逃げなんてずるいですが、これが人の男の真骨頂だと思います。お顔も綺麗なまま、美しい立ち姿で暗闇に掻き消える天は本当に最後まで頭の切れる男なんですね。

 下弦天、役者さんはかのニコニコ顔の鈴木拡樹さん。彼の愚直な真面目さと凄まじい表情筋に感謝しかないです。

 それにしても最期に落ちたあの扉の向こうは現代だったりしませんか?下弦天、今どこかの大企業の社長とかになってないですかね??

 

システム社会 対 人の繋がり

 以上、好き勝手自分の受けた印象と感想やら考察をぶち込んだ闇鍋を披露してしまいましたが、それだけ下弦の月が私の心を大きく揺さぶっていったことを伝えたかった…!たった一回のチャンスを与えてくれたローチケに、下弦に、愛髑髏に本当に感謝しかありません。

 現代みたいに難しいシステムが無いからこそ、人の心の繋がりは時に生死を分けるほどの強力なものだったのではないかと思います。信頼とは何か。捨天・捨霧・捨蘭・捨兵・蘭太・兵蘭…たくさんの繋がりがあって、敵対している間柄でも何か相手を信頼しているところがあって。時にその思っていた信頼を上回る繋がりがあれば、想定外の裏切りもある。システム社会ではスパッと答えが出てしまう問題も、私情が挟まることで展開が変わっていく。最近ラジオやブログで関係性の構築について色々あった…というのを見聞きする度、そこに正面からぶち当たってくれた下弦のカンパニー全員に心から感謝しています。

 こんな時期に卒論書いたなんて我ながら笑えてしまうけど、でも書くしかなかった。

 今後は極髑髏にも登城するので、今から天海姉さんのイケメンっぷりに思いを馳せながらmy初日を待ちたいと思います。

 本当にありがとうございました!